スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←6年目もゆるりとがんばります →AJ幽白トークショーレポ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 徒然日記
もくじ  3kaku_s_L.png 幽白戯言
もくじ  3kaku_s_L.png SS・お話
もくじ  3kaku_s_L.png らくがき
もくじ  3kaku_s_L.png 御礼
もくじ  3kaku_s_L.png レポ
もくじ  3kaku_s_L.png 頂き物
もくじ  3kaku_s_L.png 旅レポ
もくじ  3kaku_s_L.png 捧げ物
もくじ  3kaku_s_L.png 更新情報
【6年目もゆるりとがんばります】へ  【AJ幽白トークショーレポ】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

SS・お話

Happy Birthdayをキミに

 ←6年目もゆるりとがんばります →AJ幽白トークショーレポ
「たんじょうび?」

まるごと口の中に入れたチャーシューで口をもぐもぐとさせながら聞き返してきた飛影に、幽助は、カウンターを振り返った。

「そ。だからアイツ、今日は帰り遅いと思うぜ。おふくろさんのところでお祝いしてもらうっつってたから。お、まいど!」

ちょうど食べ終わった先客が席を立ったタイミングで、幽助はおまけの味玉を飛影のどんぶりに入れてやる。
それを礼をいうでもなく当然のように受け取って、やはり一口で小さな口に押し込むと、飛影はカウンターの中の幽助を見上げた。

「たんじょうびというのは何をするんだ?」
「んー。定番はケーキ食ったり、プレゼントあげたりだなぁ。」
「なんのためにだ?」
「そりゃあ…、生まれてきてくれてありがとうって伝えるためなんじゃねーの?」
「…そうか。」

ものを知らない飛影の質問は純粋すぎて、たまに言葉に窮する。
テキトーに言った答えに、いまいち納得したんだか、してないんだかよくわからない反応をして、飛影は再び視線をどんぶりに戻した。

飛影はたまにこの屋台にひとりで来る。ひとりで来る時は決まっている。蔵馬が部屋にいなかった時だ。そしてラーメンを啜りながら、いつもならば、残業を終えた蔵馬が迎えに来るのを待つのだが。

今夜寝る場所のあてがなくなった野良猫みたいな顔でスープをすすっている飛影の姿に、幽助は頭の後ろを掻いた。

「んじゃ飛影、今晩はオレのところに来るか?」

カウンターから身を乗り出し、ニカッと歯を見せて笑う幽助を見上げて、飛影は目を丸くした。その頬は、ラーメンの熱さのせいかほんのりと色づいているようにも見えた。

休日の屋台の客足は少ない。すぐ脇の高架をタタンタタンと子気味良い音を立てて電車が通り過ぎ、蛍光灯の白い光が、屋台の屋根に縞模様の影を描きながら走り去って行く。

「……行かん。」

たっぷりと時間をかけてから、ぷいと顔を背けて答えた飛影に、幽助は、だわな、と肩を竦める。

まぁこれで行くって言われたら、それはそれで後が怖ぇけどな。

「んだよ。蔵馬がいなくて寂しそうにしてっから、せっかく気ぃ使って誘ってやったのに可愛くねぇな。」
「誰が寂しそうだと?余計な世話だ!」

顔を赤くしてムキになって怒る飛影に、幽助はカウンターから手を伸ばして、つんつんした頭をくしゃくしゃにかき混ぜた。

「怒んなって。とりあえず蔵馬んとこ行くんだろ?なら、オレがいいこと教えてやるよ。」


***


蔵馬がリビングのドアを開けた時、飛影は明かりもつけずにひとりベッドの足元に膝を抱えてうずくっまっていた。

「今日は遅いはずじゃなかったのか?」

急に点いた蛍光灯の明かりに、眩しそうに目を細めながら、飛影は部屋に入ってきた蔵馬を見上げた。

「貴方が来ている気がしたんですよ。急いで帰ってきて正解でしたね。」

蔵馬は、まだ自分を見上げてぼんやりしている飛影の手を掴み、引き上げて立たせてやる。

「今、お茶淹れますから。」

そう言って蔵馬はコートを脱ぎつつ、忙しなくキッチンへと入っていく。
ソファへと腰を下ろした飛影の前に、ほどなく、湯気のたったミルクティーのカップが運ばれてきた。顔を近づけると、ほんのりシナモンが香る。

幽助の屋台を後にして、飛影はとりあえず、蔵馬の実家に行くことは行った。だが、母親たちと楽しく談笑する蔵馬を窓の外から見て、結局そのまま、この部屋に戻ってきてしまったのだった。

カップの半分ほど飲んだところで、パチンと音がして部屋の電気が消され、蔵馬と共に橙色の小さな炎がキッチンから現れた。

「なんの真似だ?」
「誕生日のお祝いですよ。余ったのをもらってきたから、一個まるごとじゃなくて申し訳ないけど。」

そう言って蔵馬は飛影の目の前にケーキの載った皿を置くと、自分はそのすぐ隣に腰を下ろした。
三角形に切り分けられた、苺の載った一切れのショートケーキ。その上には、赤、緑の小さなロウソクが2本、苺を挟むように立ててある。そしてそれぞれのロウソクの先で、小さな橙色の火がゆらゆらと揺らめいている。

「人間界では誕生日にこうやってケーキにロウソクを立てて、1回で吹き消せたら願いが叶うと言われているんですよ。はい。吹き消してください。」
「誕生日なのは貴様だろうが。」
「まぁ、いいじゃないですか。飛影は自分の誕生日なんて知らないでしょ?それなら一緒にお祝いしたらわかりやすくていいでしょう?」

突然の蔵馬の申し出に、飛影は戸惑ったようにロウソクの火と蔵馬の顔を交互に見つめた。

「貴様は余計な気ばかり使いやがって。」
「オレが一緒にお祝いしたいんだからいいじゃないですか。」
「俺がやったら、とんでもないことを願うかもしれんぞ。」

不敵に笑う飛影に蔵馬はにこやかに微笑んだ。

「それは大丈夫です。貴方の願いはオレと同じだと思いますから。」

その答えに飛影の頬にサッと紅がさす。
飛影は小さく舌打ちすると、目の前に置かれたケーキ皿に向き直った。ロウソクの仄かな明かりが、暗闇の中で二人の顔を淡く照らし、顔に深い陰影を落とす。

「それなら、お前も願え。」

飛影が大きく息を吸う。ポッと小さな音をたてて、二本のロウソクの火は綺麗に消えた。後には、溶けたロウソクの匂いが静かに香る。
光の消えた暗い部屋の中で、飛影は何かを思い詰めたように、消えたロウソクから立ち上る白い煙を見ていた。

「飛影、生まれてきてくれてありがとう。」

耳元で囁いた言葉に、赤い大きな目がこちらを振り向いたのがわかった。妖怪は夜目がきく。暗闇でも大抵のものは見える。闇の中で、瞬きもせずに、自分を射ている美しい赤い宝石のような瞳。蔵馬は、その宝石を見つめたまま膝に置かれた飛影の手に自分の手を重ねた。飛影の肩がピクリと反応する。

「貴方に会えて本当によかった。これからもずっと傍にいてほしい。」

返事はない。けれど飛影の目が一瞬見開かれ、そして感情を抑えるように俯くのが見えて、蔵馬はすかさず、飛影の肩を引き寄せた。

「ぅんッ…」

柔らかい小さな唇。それを優しく慈しむように、蔵馬は角度を変えてキスを繰り返した。何度目かのキスに遠慮がちに飛影の唇がそれに応えるように動いた。鼻から止めていた息が抜ける。
それを合図に蔵馬は啄むようなキスを繰り返しながら、飛影をソファに押し倒した。さらに降り注がれるキスの雨に飛影の喉から甘い吐息が漏れる。
シャツの裾に手を掛け、さらに深く口付けようとした、その時突然蔵馬の肩が強く押し返された。

拒否?今更?
いつまでたっても羞恥心が抜けないのは飛影の魅力ではあるけれど、中途半端にその気にさせておいて、止めるのは正直やめて欲しい。

当然受け容れられると思っていたものを拒まれて、一言嫌味でも言ってやろうかと思いながら体を起こした蔵馬は、自分の下に横たわる飛影に視線を落として動きを止めた。

潤んだ目。暗闇でもわかる上気した頬。唾液に濡れた唇は真一文字に結ばれ、僅かな光を反射して仄かに光る深紅の瞳は、一直線に自分を貫いている。けれどそれは、睨むと言うより、何かを訴えようとしているように見えて、蔵馬は暫し飛影の表情を伺った。普段鋭い眼光を放つ瞳が、一瞬所在なさげに揺れる。

「飛影?」
「…お前はずるい。」

飛影の口から吐き出された予想外の言葉に、蔵馬は飛影を見つめた。

ずるい?オレが?

実のところ、飛影を謀ったことは無数にある。思い当たる節が多すぎて一体何に対して飛影がそう思ったのか、皆目検討がつかない。
けれど、オレは飛影に常に尽くしてきたつもりだ。彼が望めば食事を提供し、寝床を提供し、彼が望むよう彼を愛してきた。
思わず、「何がですか?」と問いただす言葉が口をついて出そうになる。けれど、普段自己主張の少ない彼が、せっかく何かを訴えようとしている出鼻を挫くのは、無粋な気がした。
それに、目を潤ませて何かを思い詰めた飛影の表情はとても扇情的で、蔵馬は喉まで出かかった言葉を飲み込んで、大人しく次の飛影の言葉を待った。

「お前は…心を先読みし過ぎだ。」

蔵馬は再び目を丸くした。

飛影は自己表現が苦手だ。そのくせ、表情がないようでいて、面白いほど反応がわかりやすい。飛影が思っていることなんて手に取るようにわかる。だから、わざわざ彼が口に出さなくても、先回りして彼が望むようにしてきた。
それが、そんな風に思っていたなんて。意外だったのだ。

「全部先に言いやがって…」

そう言って飛影は眉根を寄せて、悔しそうに、顔を歪ませる。

それって…さっきのオレのセリフ?

組み敷かれながら、頬を染めて視線を逸らした飛影の姿に、蔵馬はやっと合点がいった。

自分がしばらく帰ってこないと知りながら、なぜ飛影がそれでもこの部屋で自分を待っていたのか。寝てしまうこともせずに。

「それなら、今度は貴方から言ってください。」

蔵馬は体を起こすと、腕を掴んで飛影を引き起こした。
自分が言ったくせに、思いがけず突然バトンが渡されて、飛影は戸惑ったように蔵馬の顔をいっとき見つめた後、また顔を赤くして俯いてしまう。

思わず、助け舟を出したくなるが、今しがたそれを非難されたばかりだ。蔵馬は口を出したくなるのをぐっと堪えて待った。

暫く俯いた視線を彷徨わせていた飛影だったが、覚悟を決めたのかぴたりと動きが止まる。
鋭い眼光がこちらを捉えたと思った瞬間には、飛影に襟元を掴まれていた。
力任せにシャツを引っ張られて首が絞まる。

これだから加減を知らない子どもは困る。

カハッと蔵馬が大袈裟に苦しんで見せると、事態に気づいたのかようやく力が緩められたが、相変わらず射殺されそうな迫力で、二つの赤い瞳がこちらを睨んでいる。

やれやれ。これじゃ、これから愛の告白をされるのか殺されるのかわからないな、と蔵馬は心の中で苦笑する。

「いいか…一回しか言わんからな。」

飛影の思い詰めた声に、蔵馬は珍しく自分の心臓が高鳴るのを感じた。飛影は顔を真っ赤にして、鼻息も荒くこちらを睨んでいる。潤んだ瞳で、こんな風に凄まれたら、否が応でも期待してしまう。

襟を掴む飛影の手にまた力が入る。
飛影はふと視線を外すと、蔵馬の視線から隠れるように、俯き加減に蔵馬の首元に顔を寄せた。

「…っぴぃ…ば…すで…」

あれ?…そんな言葉、飛影いつ知ったんだろう?

と思った時には、蔵馬は乱暴にソファに突き倒されて、赤い顔の飛影がその上に馬乗りになっていた。

「ちゃんと言ったからな!」
「ちょっ…飛影、待って…」
「煩い!俺から言ってやったんだ。黙って受け取れ!」
「うぐっ…」

それ以上何も言うなと言わんばかりに、乱暴なキスで口を塞がれた。ガチッと歯と歯があたって衝撃が頭に響く。

おかしい。

戸惑いながら蔵馬は思う。

たかが誕生日のお祝いを言うだけで、こんなにも恥ずかしがるだろうか?しかもその前の異常な躊躇の仕方にしても、何か別の意味があるはずだ。

自分の先ほどの発言を誤魔化そうとするように、勢いだけで繰り出される拙いキス。それを優しく受けてやりながら蔵馬は、先刻「飛影が部屋で待っている」と連絡をくれた、お節介なラーメン店主の、やけにもったいぶった話しぶりを思い浮かべた。

これは幽助に一杯食わされたか。
蔵馬は心の中でそう思いながらも、それでも飛影からのhappy birthdayは純粋に嬉しくて頬が緩む。

とりあえず、誕生日の常套句をどういう意味で飛影に教えたのか。まぁ、なんとなく想像はつくが、あとできっちり幽助には問いただすとして、その前に、熟れすぎたいちごみたいに赤くなってしまったこの純粋すぎる妖怪をどうにかしてやらなきゃならない。

「ぅんっ…」

逆に舌を差入れられて、無心にキスをしていた飛影の喉から声が漏れる。

蔵馬は一度唇を離すと、頬と同じく赤く染まった耳元に口を寄せた。

「happy birthday」


赤く熟れた果実は、蔵馬の肩口に顔を隠すようにして、小さく頷いた。


Fin.
2018/03/03UP





なんだかベタなシチュエーションになってしまいました。躯にヒトモドキをあげたのは、この後きちんとホントの意味を教えてもらった後とご想像ください。

関連記事
スポンサーサイト

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 徒然日記
もくじ  3kaku_s_L.png 幽白戯言
もくじ  3kaku_s_L.png SS・お話
もくじ  3kaku_s_L.png らくがき
もくじ  3kaku_s_L.png 御礼
もくじ  3kaku_s_L.png レポ
もくじ  3kaku_s_L.png 頂き物
もくじ  3kaku_s_L.png 旅レポ
もくじ  3kaku_s_L.png 捧げ物
もくじ  3kaku_s_L.png 更新情報
【6年目もゆるりとがんばります】へ  【AJ幽白トークショーレポ】へ

~ Comment ~

NoTitle

ひえ、チャーシューも煮玉子もきっと箸で刺して食べるんだろうな…
v-373(*`д´*)
幽助のとこ行っちゃうのかと思った(笑)
幽助のところでさえ許さない蔵馬…心狭いな(ФllllФ)

生まれてきてくれてありがとうなんて言われたら!!!
ひえはもう!!!!!
キュンキュンv-344
(*`///´*)クリャマノバカ

そうですよね!
ひえがハッピーバースデーの意味を教わったのは100%蔵馬ですよね!

6年目も更新お待ちしております!
御本も全裸待機です。
(ΦωΦ)凸
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【6年目もゆるりとがんばります】へ
  • 【AJ幽白トークショーレポ】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。