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SS・お話

それはまるで空気のように

 ←白昼夢 【白】 →cradle song 揺籃のうた

原作四次元屋敷騒動後の設定です。







「なんであんなこと言ったんです?」
 
蔵馬は机に向かって作業を続けたまま、振り返らずに言った。
窓辺に降り立った来訪者は気配を感ずかれたことに小さく舌打ちをする。
 
「なんのことだ。」
 
飛影はひょいとフローリングの床に飛び降りると、そのまま断る素振りもなく蔵馬のベッドに勢いよく腰を下ろした。それを横目で見て、蔵馬はやれやれといった体で腰を上げる。
 
「さっき幽助に言った言葉ですよ。魔界に帰るだなんて。ほんとは気にしてるんじゃないですか。」
 
蔵馬は飛影の足元に跪くと慣れたしぐさで飛影のブーツを脱がしていく。
まったく部屋に入る時は靴を脱いでくださいって何度言ったら…と蔵馬がこぼす小言を聞き流し、飛影は自由になった細く白い指を開いたり閉じたりしてみせた。
 
「事実を言ったまでだ。今回の件は俺には関係ない。それに魔界に帰れるなら願ったり叶ったりだ。」
「そんなこと言っていざとなったら助けるつもりなんでしょう。」
 
飛影のブーツを窓際に几帳面に並べている蔵馬を尻目に、飛影はふんと鼻を鳴らして仰向けにベッドに倒れこんだ。
 
「人間界がどうなろうと知ったことか。次にあいつが死んだところであいつの責任だ。まあ今回のことでさすがにあのバカも懲りただろうがな。」
「確かに。今回はいい薬になりましたね。幽助にとっても。貴方にとっても。」
 
そう言って蔵馬はニヤリと笑う。明らかに悪意のあるその笑顔に飛影はチッと舌打ちしたが、四次元屋敷で相手の挑発に乗り魂を奪われるという失態を犯した以上、それ以上言い返せず押し黙った。
 
「今回は玄海師範が黒幕だったからよかったものの、次も貴方を助けられるかわからないですよ。」
 
蔵馬は先ほどまで読んでいた机の上の本を閉じると、ベッド脇のスタンドを灯し、部屋の明かりを落としていく。小さなスタンドのオレンジ色の明かりだけがぼうっと暗闇の中に浮かぶ。
 
「フン。俺は同じミスは犯さん。幽助はどうだか知らんがな。」
 
ギッとベッドのスプリングが軋む。蔵馬はゆっくりとベッドに上ると、偉そうにベッドの真ん中で横たわる体を跨ぎ、自分を見上げる飛影を無表情で見下ろした。飛影はただ怒るでも愉しむでもなくただ真っ直ぐに蔵馬を見据えた。
 
「ほら、やっぱり幽助のこと心配してる。一度身を引いたのも、相手の能力が分からない以上、今は自分の出る幕じゃないと思ったからでしょう。」
「何度も言わせるな。今回の件は俺には関係ない。」
「どうだろうね。貴方は幽助には甘いから。」
 
そう言うと蔵馬は飛影の首元の白い布をするりと抜き取った。飛影の目は変わらず射抜くように蔵馬を見つめている。
 
「オレには冷たいのにね。」
「貴様は心配する必要なんて…ッ、ないだろう。」
 
飛影の言葉を待たずに、蔵馬は白い首筋に顔を埋めた。湿った唇に舐め上げられる感触に、飛影はピクッと僅かに体を震わせる。
 
「こんなに尽くしてあげてるのに。」
「それは・・・こっちの、セリフだ。」
 
ベッド脇のオレンジ色の明かりが、重なる二つの影を艶めかしく壁に映し出す。
首筋から耳へ肩へと吸い付きながら、蔵馬は手際よく飛影の黒い上衣を脱がしていく。
 
「幽助のどこがいいんです?」
「んっ・・・」
 
蔵馬の冷えた手がタンクトップの裾から直に忍び込むと、飛影は短く息を呑んだ。タンクトップの中に入り込んだ蔵馬の手が、布の下であやしく蠢く。
 
「幽助ともこういうことしたい?」
「っるさっ・・・幽、助は関係な・・・アッ」
 
いつの間にか目を閉じて蔵馬の手に身を委ねるようにしていた飛影の喉から、抑えきれずに声が漏れる。上着をたくし上げて、吸い付くような白い柔肌に唇を這わせると、飛影の体は魚が跳ねるようにピクピクと敏感に反応した。
 
「久しぶりだからかな。今日いつもより感度いいんじゃないですか?」
「うるさっ・・・んッ、いい加減、だま・・て、やれっ」
 
潤んだ赤い瞳に睨まれて、蔵馬は「はいはい」といい加減な返事をしながら、もう充分に主張している桜色の胸飾りに歯をたてた。
 
「アッ、んあっ…!」
 
一際高く飛影の声が部屋に響いた。
 
 
****
 
 
飛影がオレの部屋に来るということは、イコールそういう事をするということだ。
 
彼はそのために来る。
オレはそのために彼を迎える。
 
そこには何の感情もない。
腹が減ったら飯を食べる。眠くなったから眠る。
それと何も変わらない。
ヤりたいからヤる。
ただそれだけ。
ただの生理的な衝動に過ぎない。
 
背中につけられた爪痕にも、
体中に散らした赤い花びらにも、
縋るように首に回された腕にも、
目が合って衝動的に重ねた唇にも。
そこには何の感情もなかった。
 
それはまるで空気のように。
 
オレ達は互いにとって都合のいい存在だった。
邪魔にもならず負担にもならない。
そこにいることが当たり前で、手を伸ばせばすぐに届く。
 
それが心地よかった。
 
だから、彼もそう思っていてくれたらいいと、
飛影の切ないような細く高く啼く声を聞きながら、
そう思った。
 
 
****
 
 
「…躯側の飛影ってヤツがぐんぐん力を伸ばしている。」
 
上のそらで、窓の外を見ながらからの退屈な報告を聞いていた蔵馬は、久しぶりに聞く名前にようやっと自分の意識を呼び戻すと、からの方へと目だけを動かした。
 
「詳しく話せ。」
「あんたが興味を持つなんて珍しいなぁ。そういえば、飛影って奴とあんたは仲間だったらしいな。まさか黄泉様を裏切ってそいつと組もうなんて考えてるんじゃないだろうなぁ?」
 
その言葉に一瞬にして部屋の空気が変わる。
 
から、オレは今日、機嫌が悪いんだ。この意味がわかるか。」
 
唐突に凍るような視線を向けられ、秀一の中にいながら、からは体を硬直させた。
 
「へへ…話すよ。話してやるよ。俺だってまさかほんとにあんたが黄泉様を裏切るなんて思っちゃいねぇよ。」
 
しかし結局空の情報は、黄泉軍の諜報部員から蔵馬が仕入れた情報と大差なかった。
蔵馬はから、もとい秀一を部屋から追い出すと、秀一から奪い取った煙草に火を点け、再びぼんやりと窓の外を眺めた。
 
 
最近柄にもなく苛ついている。
さっきもから程度の相手にキレそうになった。
オレがあの程度のことで苛つくなんて。
 
人質を取られて思うように動けないから?
いや、人質をとられていることは大した負担にはなっていない。
 
幽助や飛影に遅れをとったから?
それは一理ある。
 
 
けれどもそれ以上の理由に蔵馬は自分自身で気付いていた。
 
 
俺は躯に会いに行く
 
そう言って飛影がオレの前から去ってから、もう半年近い。
 
今お前は何をしている?
どれくらい強くなった?
誰と一緒にいる?
何を考えている?
 
気が付けば、四六時中彼のことを考えている。
正直、家族がどうなろうと、魔界がどうなろうと、人間界がどうなろうと、すべてがどうでもいい。
彼のことを思い出す度に、息苦しくて窒息しそうになる。
潤んだ瞳も、上気した白い頬も、汗ばんだ肌も、オレを呼ぶ上擦った声も、全てが鮮明に脳裏に焼きついて、忘れられない。
 
けれどももう、彼がこの窓辺に降り立つことはない。
 
 
窓のカギをカチャリと掛けるとカーテンを閉じようとして蔵馬は手を止めた。
窓の外では、夕焼けの空が橙から藍へとグラデーションを描きながら広がっている。
蔵馬は暫くそれを眺めたあと、小さな溜息をひとつ吐いて勢いよくカーテンを閉めた。
 
 
 
ねえ飛影、知ってる?
空気っていうのはね、それがないと生きられないんだよ



Fin.

2014/12/24UP


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