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Sympathy -Side Kurama-

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「おい。そこに跪け。」

突拍子もない命令にオレは微笑んだままで振り向く。飛影が俺様な命令をするのはいつものことだ。

「はいはい。こう?」

オレは素直に床に両膝を着き、飛影を見上げる。

瞬間・・・唇をさらわれた。
驚いて目を丸くするオレに、飛影が満足げにニヤリと笑う。

「いつも貴様に見下ろされてばかりなのは気に食わないからな。」

その言葉にオレは改めて飛影の顔を見る。
いつもは、上目遣いでオレを見上げてくる飛影のことを可愛らしいと思っていたが、下から見上げる飛影は、少し大人っぽくて、凛々しくて。どことなく色香がある気がした。
飛影はいつもこんな風にオレを見ているのだろうか。
まじましと顔を見られて、飛影が怪訝な顔をする。

「なんだ?」
「もう一度・・・してくれませんか?キス。」

今度は飛影が目を丸くする。
一瞬考えた後に、視線が外される。

「フン。一回だけだ。」

そう言って、ためらいがちに視線を戻すと、跪いて見上げるオレの頬にそっと触れる。ほんの少しだけ頬を染めて。
オレがいつもするように、親指で下唇をなぞり、ぎこちない動きで、前髪を梳く。
髪を撫でた手が首裏に差し入れられ、少し緊張した面持ちの顔が近づく。

そんな貴方はやはり可愛らしいなと思ってしまう。

重ねられた小さな唇は、柔らかく湿っていて、欲情を呼ぶ。
誘うように薄く口を開けば、珍しく彼の方から舌を入れてきた。
自分の舌を絡ませて応えてやりながら、そっと彼の首に腕を回して抱きつく。

さて、いつ形勢逆転させるか。

そんなことを考えていたら、飛影に頭ごと抱え込むように抱きしめられた。
飛影の手がオレの髪ぐしゃぐしゃに綯い交ぜ、掻き抱くようにきつく抱きしめられる。
まるで、決して手離すまいとするように。

骨が軋むほどに抱きしめられて、心臓を鷲掴みにされたように胸の奥がキューッと痛む。
思いがけず鼻の奥がツンとした。

いつも自分が彼を守ることばかり考えていたから気が付かなかった。
彼のことが心から大切で、大事で、守りたくて、手離したくなくて・・・彼を愛することばかり考えていたけれど。

本当は、彼も同じ気持ちなのかもしれない。
立ち位置が違うだけで、本当は同じくらい・・・いや、オレの方がずっと大切にされて、愛情をもらっているのかもしれない。

そう思ったら、こんな風に飛影に力強く抱き締められるのが、とても幸せに思えた。

飛影の首に回した腕に力を込めて、オレも抱き締め返す。
彼がいつもそうしてくれるように。

もう少し。もう少しだけ。貴方の愛情を感じていたいから。

もう少し。もう少しだけ。貴方の小さな腕の中に抱かれていよう。


Fin.
2014年3月3日UP

→ Sympathy -Side Hiei-


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